技術のご紹介

バイソンサイクロンの性能

減圧弁とバイソンサイクロンの違い。

減圧弁

二次側配管での熱損失を少なくするために減圧弁を使用。
蒸気は減圧弁内を瞬時に通過する為、ミストが再蒸発しない。

バイソンサイクロン

バイソンサイクロンでの減圧は二段階で行います。
①再蒸発が目的の調整弁による減圧。
②過熱蒸気への変換が目的のノズルによる減圧。

本体内に入った蒸気は、ミストを遠心分離。
蒸気だけをノズルから一気に送り出し、
理想的な蒸気の改質を実現
これにより結露しにくい3℃~8℃の過熱蒸気に変換。
※過熱度は供給される蒸気温度・圧力差により異なります。

バイソンサイクロンの構造

バイソンサイクロンは二重円筒構造のサイクロンセパレータです。
まず入口ノズルから流入したミストを同伴する蒸気は、圧力調整弁で減圧されます。
慣性力で外筒内面に補足されたミストは圧力バランスにより旋回しながら順次蒸発します。
補足されたミストがミストのままで再度蒸気に同伴されることはありません。
ミストを分離した蒸気、あるいはミストがフラッシュ蒸発して発生した蒸気は流れ方向を変え、内筒に設けられた160個のノズルを通り、蒸気利用設備に送り出されます。

減圧弁 VS バイソンサイクロン

バイソンサイクロンを設置頂いた工場様で計測して頂きました。
理論上は減圧する事により過熱蒸気となりますが、工場で使用している蒸気は
圧力の変動が常にある事と蒸気の湿り度が高いため理論通りに過熱蒸気にならないことが判ります。
備考
1. 圧力変動が比較的少ないユーザー様で計測しました。
2.温度計測はセンサーに保護管をつけているので圧力と誤差があるため
  減圧弁・バイソンサイクロンともにプロットの中信でご覧ください。
3. 減圧弁とバイソンサイクロンは同じ位置。
4. ボイラー運転圧力・二次側圧力に関しては減圧弁・バイソンサイクロン共に
  同じ条件。


過熱度が上がる理由

モリエル線図で確認するとバイソンサイクロン内で
①段階目の調整弁による減圧で乾き度98%になった飽和蒸気を
②段階目のノズルによる減圧をする事により飽和蒸気線を越え過熱蒸気となります。

これを実現するためにはまずボイラーを最高使用圧力近辺で運転する必要があります。
蒸気の持つ比エンタルピを上げ、減圧後の低圧蒸気の比エンタルピとの差をミストの気化潜熱に使い、更に過熱度に変換します。
【モリエル線図拡大図】
ボイラー出口圧力を10.0bar(絶対圧力)としてこの部分を拡大したものです。
圧力は常用するゲージ圧力の0.9Mpaを併記しています。
ボイラー出口蒸気を0.9Mpa、乾き度98.5%の湿り蒸気と想定します。
外部と熱エネルギーの授受なしで、蒸気使用設備の利用圧力0.3Mpaまで減圧するとき比エンタルピーは一定でモリエル線図上では垂直に下がる変化になります。
垂直に下がると湿り蒸気は飽和蒸気線を越え乾き蒸気領域に入ります。
この時飽和蒸気より3.8℃高い過熱蒸気となります。
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